初日は休んで、翌日6日からは当てもなくひたすらにパリの街を歩いていた。目的もなく、目標もない。ただ、新しい環境で何をしようかと思いながらと歩いていた。
気になって立ち入ったのが芸大のキャンパスで、常設なのか展示をしていた。気に入った作品をカメラに収めながら(ヨーロッパの美術館は撮影OKが多い)、また街を歩いてアートギャラリーをいくつか見つけて入ってみたり、馴染みのない建築物を眺めてみたりして過ごしていた。
その中で不意に「この旅では芸術を巡ろう」と思った。何となく自分の関心が向いて、文化的に豊かなヨーロッパを堪能するには、その決定が自然だと思えた。パリを最初の目的地にした帰結だとも言える。
とにかくこの思い付きを機に、一年間をかけて、ヨーロッパ各地の数百の美術館を訪れる事となった。